2002-06-14

月陽炎


「巫女さん好きなら押さえとき」
 と言う、A氏の助言より始めることになった月陽炎。むしろ、A氏から薦められる最新ゲームの多いこと多いこと……どうやったらそんなスピードでクリアできるのでしょうか?(笑)
 巫で痛い目を見て以来、遠ざかっていたが……いすちん、頑張る。
 略称は特に無いようで、そのまま「つきかげろう」と呼ばれる。

ファーストプレイ

 舞台は大正時代。季節は徐々に涼しげな風を感じる、秋。主人公はある神社の宮司の息子であるが、そこから別の街の神社へ奉公に出ることから始まる。
 オープニングが凝った作りになっていて、これは恐らく一度クリアしてから見たほうが面白い。初めて見たが歌と曲調、セリフ、CG、シナリオの予感などの諸要素がかなりいいバランスで組み合わされた良い出来のオープニングムービーだと思う。
 鬼畜ゲーよろしく初っ端から18禁シーンで始まるが、久々にシナリオゲーの予感。
 葉桐(ハギリ)、登場。
 奉公先の神社の家内。
 セミロングの髪を後ろで束ねている。落ち着いた気性だが……どことなく、やらかしてしまいそうな……千鶴さんの匂いが……(ぉ
 鈴香(スズカ)、登場。
 奉公先の神社の3姉妹の長女。
 黒髪ロングの嗚呼巫女さん。巫女さん巫女さん、お人よし(謎)
 冷静な性格なようだ。デフォルトを地でいく巫女お姉さん。
 柚鈴(ユズ)、登場。
 奉公先の神社の3姉妹の一人。
 銀髪ロングの嗚呼巫女さん。巫女さん巫女さん、人見知り(謎)
 人見知りの激しい性格のようである。銀髪の印象とも相まって、凄く繊細で危なっかしい雰囲気。
 美月(ミヅキ)、登場。
 奉公先の神社の3姉妹の一人。
 ロングポニーテールに八重歯で、矢絣模様の和服娘。
 激しい気性の持ち主で、この神社に着いた時のアクシデントでいきなり印象最悪。変態呼ばわりされていきなり蹴られたりすることになる。呼び名が同じ事から発展してそう感じてしまったが、君望の水月と似た印象。
 一哉(カズヤ)、登場。
 奉公先の神社の宮司。葉桐の夫で鈴香・美月・柚鈴らの父親になる。
 物語のきっかけとなるキーキャラクター。つまり、主人公(悠志郎)をこの神社に呼び寄せた張本人。
 堅気でもなければ軟弱でもない、良い感じの男だ。物語の重要な存在となりそうなので、一応は紹介しておくが萌えキャラでは無いので、こんな所で突っ込まないように(笑)
 双葉(フタバ)、登場。
 柚鈴の友人。境内で一緒に話しているところで出会う。
 ショートカットの髪に、洋風の服装。
 好奇心旺盛な少女だ。簡単に言うと、礼儀正しい四葉(シスプリ)といった所か。エロゲ版チェキ。
 性格的に、美月が次女で柚鈴が三女だと思っていたが、美月と柚鈴は同い年らしい。そして双葉も同じぐらいの背をしていた。
 つまり美月、柚鈴、双葉は同世代ということですか。
 双葉だけがとても幼いように感じてしまうのは、やはり短い髪のせいですかね。
 ショートカットの神通力、ここに現れり、ですね。
 それと同時に、探偵業になりたいと言う強い夢を持っている双葉。その強い想いを恥ずかしがりながらも叶えようとひたむきな意志。
 ショートカットの神通力、ここに現れり、ですね。
 ……。
 どうやら私には回避出来ないみたいですね。
 ふむ。(謎)
 ちょっと悠志郎(主人公)っぽく語ってみたがどうか? 照れ隠しになっているか?(マテ
 さっきの「ふむ。」は悠志郎の口癖のようでちょくちょく出てくる。堅苦しく重厚なわりにもなかなか小粋なテキストだ。やるのぅ、おぬし。
 ( ゜д`)y-’~ <フ
ム…。
 では無いので要注意だ(ぉ
 起承転結の起。各個人との交流が主となる。イベントらしいイベントは起こらない。まぁ、世界観と各登場人物のキャラを把握させるのが起の主題なので当然だ。
 鈴香との社務。鈴香と美月、鈴香と葉桐の人間関係、力関係。柚鈴が主人公に対しての対人恐怖症を克服する経緯など。
 登場人物のセリフはキャラ立ち絵の上に表示されるので、視点をあちこちと動かしながら読むことになる。立ち絵による表情の変化を見て欲しいとのことだろうか。そのわりには立ち絵のバリエーションが少ないような……。また、テキストに漢字が多いが、小難しい単語ばかりを使っているわけでもない。テキスト位置とテキスト構成のこの2点から、物語の雰囲気とも相まって、テキストをゆっくりと読み進めることになる。悪くない感じだ。僕夏以来にじっくりと物語を堪能できそうだ。
 起承転結の承。悲しいかな、俺が正しいと思うがままに選択肢を進めていくと美月のルートに入っていった感じだ。気性の激しいキャラが見せる弱い部分に、堕ちる方は多いだろうが俺はノーマークなんで……(ぉ
 立ち絵も1枚CGも綺麗だが、違和感が無いことも無い。
 起承転結の転。物語は起伏を見せる。
 って、ちょっとマテ。これバッドエンドだろ?
 つーか、まだ全然終わってないじゃん? 何も終わってないじゃん? まだ起承転結の転じゃん!?
 しかしエンディングテーマが流れてる訳で……おかしい。物語は終わっちゃいない。バッドエンドとしか思えない。って言うか、千鶴さん……?(違)

美月、柚鈴シナリオ

 もう一度初めから始めると、導入部分が変わっていた……。
 なるほど。繰り返してプレイする手法ですか。
 ふむ。
 しかし、早く先ほど終わったシーンへ行こう思って、最初の選択肢を替えると……あら、ここで鈴香と柚鈴の分岐クサイですね。早すぎると言うか……選択肢に意味が無いと言うか……(笑)
 アンヨが上手、アンヨが上手(謎)
 アンヨが上手、アンヨが上手(謎)
 ふむ。
 色々とツッコミ所は多いのですが、柚鈴が飛躍的に羽ばたいて行くのを手伝うのはとても心地の良い、そして癒されるものを感じます。柚鈴から感じた「危うさ」を「ひたむき」にさせれば「儚い」もので、はい。
 ツッコミ所と言っても「なんで年上の鈴香に萌えてんねん俺。どうしたよ、いつもの強い俺はよ。」とか、「巫女服に頭巾割烹着はアカンやろ。それ、反則やん?」とか、「ラヴりっぷりが青いっちゅーか、大正浪漫っちゅーか、青空も川辺も青いっちゅーかヨォ?」とか、とても些細なことなのでそれに付いて吼えることは控えましょう。
 DA・KA・RA、こんなもどかしい気分のままエンディング見ても嬉しくもなんともないっつーねん!!(ぉ
 さて、柚鈴シナリオを2周したあとでタイトルバックが変わってることに気付く(遅)
 では次はまた美月ルートへ行ってみようか。
 ……。
 アンタらやり過ぎ(謎)
 ふむ。
 美月と柚鈴と悠志郎でとらいあんぐるハートになるのかとワクワクしたのもつかの間……どかどかと謎が解けていく……。
 あぁ……こういう話か……。
 設定はまぁアリかなとは思った。それほどこのことで感動はしなかった。
 でも、やはり。
 俺の頬は濡れているわけで(ぉぉ
 って言うかね、柚鈴の最期はもう見ていられません。美月はもうどーでもいいです(マテ
 こんな長いゲームを3周もやってりゃ愛着沸くっちゅーねん!!(ぉぉ 誰彼は別格。違う意味で(マテ
 手紙は、もう勘弁して下さいYO! がああぁぁ……(死)
 さて、面白くなってまいりました月陽炎。美月の2周目が終わって再度柚鈴シナリオへの再突入を試みる。美月エンドがあれほどだったのに、柚鈴シナリオで泣けないはずが無いだろう。属性的にも(ぉ
 そう思って1度失敗しつつ再度……やはりありました。柚鈴シナリオのまだ先の話が。
 くぅぅ……真が、真が……こっちを先にやれば良かったっぽ……。
> ユ●ナ「わたし、シンを倒します…必ず倒します」(違)
 あぁ……(謎)
 うわ、どうしてお風呂えちぃシーンを省略してるんだYO! 「2回ほど可愛がった」ってなんで1行で終わってんねん! 納得行かねェぞゴルァ!!(マテ
 ゴルァ……(鈍涙)
 美月シナリオで柚鈴に泣いたが、柚鈴シナリオでは紡がれる堕ち神の血脈に対して泣けた……。葉桐さんの愛が、美月に科せられた宿命が、柚鈴の決意が。
 悲しくもよく考えられた設定だが、美月シナリオでは柚鈴に、柚鈴シナリオでは美月に泣けるのが残念といえば残念(笑)

葉桐シナリオ

 メインヒロインの美月と柚鈴を何度かクリアしていると、タイトルバックに葉桐さんが……次は葉桐さんをヤレと?
 ふむ。
 しかし、スタートさせると鈴香の語りが始まった……。鈴香もOKになったんですか?
 ふむ。
 現時点でシナリオ感情移入度的には柚鈴萌えだが、キャラクター的には双葉と鈴香がかなり萌え。たぶん、シナリオがあれば双葉と鈴香に変わると思っていただけに嬉しい。俄然面白くなってきましたよ月陽炎!(ぉ
 とりあえず美味しいものは残しておくことにして葉桐さん、イットク?(ぉ
 ……なんか鬼畜クサイよ……(謎)
> 「ぐはっ!」
 って言うな……この鬼野郎が……。
> 「ぐぅおぉぉーーーーー!」(RR)
 と同じか……?(違)
 はぁ……まぁ、葉桐さん属性の方のためのシナリオと言った感じですか。
 俺はもちろん違うんで、特に感慨は無し(ぉぉ

鈴香シナリオ

 では、嗚呼巫女さん、巫女さん巫女さんお人よし(謎) の、鈴香ルートを目指したいと思う。
 ちなみにタイトルバックの葉桐さんは1クリアで色が付いてしまったので1エンドのみだろうなぁ……。
 なんと言いますかね。見た目も性格もストライクゾーンでは無いと思われがちなのですがね。こう……それを補って余りある魅力が鈴香さんにはありますね。何と言いますか、こう……本物だけが出せる味わい?(謎)
 でも、どうしてそんなシナリオなんだ!(笑)
 どうしてそんなにこじつけくさいんだ……。
 ……うぅ。
 しかし萌える。絶叫系の萌えじゃなくて、胸のうちから沸々と萌えるタイプなので吼えにくいのだが、凛として柔、奥ゆかしくも秘めたる何か、神の国日本が誇る和の属性の理想系に近い所を巫女属性で増幅させているタイプ。久々にこういうベクトルでの大ヒットキャラだった。

双葉シナリオ

 長かった……。発生する関連選択肢は毎度変わらず、どれを選んでも後の展開に影響してこない。攻略対象なのか攻略対象じゃないのか微妙な所だったんで不安だったんだ。
 でも、タイトルバックに登場した瞬間、歓喜。ワールドカップよりもエキサイティングな感動が俺を包む(マテ
 最期に、巫女ゲー中の非巫女にしてラスボスの双葉ルートへ。
 物語には殆ど入り込んでこない双葉はどのような話になるのかと思ったら……なるほど。
 ふむ。
 お兄ちゃん? お兄ちゃんデスカ? ……アンタ、兄チャマじゃなかったのか?
 いやしかし、同じく探偵に憧れるシスプリの四葉との違いは、四葉が主人公のことしか見えていないストーカーなのに対して、双葉は主人公を通し含めて帝都や自分の夢を見ている所だろう。……大違いだ。と言うか、ケタ違いだ(ぉぉ
 ふむ。
 シナリオは月陽炎の設定を生かした別の物語。しかし、神威やら堕ち神やらが関わる設定の前に推理明察の探偵屋は用無しで……(笑)
 双葉が主人公に傾倒していく様はよく描けているのだが、主人公の変化とシナリオが付いてこないのが惜しい。
 ……鈴香さんは何処に行ったのカナ~?(カクカク)
 ふむ。
 他の……有馬家一族のルートとは毛色が違うのが残念だったか。でも、萌えたからいいや(ぉ
> 「背中を私の胸に預ける双葉の手を置いて、カラスの日暮れを告げる鳴き声を黙って聞いていた。」
 双葉のえちぃシーンの合間にあるテキストだが……めっちゃツボった……(ぉぉ

総括

 さて、総評。
 シナリオは良く練られ、テキストも丁寧に書かれており、とても深みのある物語になっている。美月がシナリオの中核にいるのだが、それに対する主人公と柚鈴の関係が上手い。キャラクターの個性もきっちりと書き分けられ、それぞれが魅力的なものになっている。しかし俺の心の琴線に触れる話では無かったかな……救えてないし……ベストエンドは美月エンド(柚鈴の手紙)だ。多少、強引な締めくくりだとは思うものの。
 想像を展開させる伏線があまり無かった。ラストは物語の中心にどんどん突っ走る展開のため、ある程度の伏線を張らないとやたら急展開に感じてしまう。また、葉桐、鈴香、双葉ルートがおまけ風味に感じてしまうのが残念。普通に考えればそれなりのシナリオなのだが美月、柚鈴ルートと比べても、物語の真相を知ってしまった後と言う点でも。美月、柚鈴ルートをさらに深く掘り下げるものではなく、ただ設定を使った別の展開だったのが残念だ。
 フルボイスゲームで、声優さんが上手い。特に葉桐さんの「もう……もう……!」が面白かった。鈴香もなかなか素晴らしい演技力だったように思う。ビンゴ。
 あと、えちぃシーンがかなり濃い(ぉ
 音楽性もかなり高く、BGMもなかなか優秀。いくつか歌入りのテーマがあったが、どれも月陽炎の物語に相応しいものだった。
 システムは良好。特に問題のある動作はしないが、バッドエンドを見ないと先に進めないのは感心しない。俺のような感情移入型プレイヤーを殺し、ライトゲーマーを拒絶している。
 総じれば非常にお薦めのゲームなのだが、時間がある時にやると尚良いだろう。それだけ深みのある物語だ。間違っても積み崩しとかの途中に入れてはいけない。
 また、このゲームは神社が舞台の巫女ゲーなのだが、このゲームで巫女さんの良さを解かってもらおうなどとは思わない。巫女さん属性の俺が見る、巫女さん的な萌えは鈴香にしか感じることが出来ない。純然たる巫女ゲーだが、巫女属性開発には適さないと思う。