2006-05-06

この青空に約束を─


 仲間内でも評価の高い、その中でも師匠の評価が高い、ショコラ、パルフェのシラリオライターが送り出す戯画の新作。それがこの、この青空に約束を─。
 システムに定評があるようだが、公式サイトが使いにくいっつーか、レイアウト崩れまくってるんですけど。キャラ紹介とかフレームに隠れて文字が読めません。こんな少ないページ数でわざわざフレームを使うまでも無いだろうと言いたいのだが。
 略称は難しく、「青空」と言えばAIRの挿入歌や果て青などが思い出され、「約束」では通らない。結局、「この青空に」ぐらいは言わないと、特定できないのが残念だ。

ゲーム日記

 始まりはひなた荘?
 ありえない勢いで美少女の揃った学生寮に、男子生徒は俺一人。
 すでに好感度MAXの幼馴染みに、気も悪知恵も効く生徒会長のお姉様、島を一変できる地位のお嬢様、無口系のおかっぱ少女、子供のような言動が目立つ担任女教師兼管理人、そしてやってくるツンデレ転校生。
 やっぱりひなた荘で問題ありませんね。
 第1章。
 ツンツンの転入生、凛奈を量の一員として迎え入れるまでが、第1章。
 4月からスタートの寮生活って、とらハ2やミルシーなんかを思い出すけど、実際それに近いものがあるね。安心してテキストを読み進められる王道感。行き先選択に見せかけてキャラクターアイコンを選ぶスタイルの選択肢も、その感じをより一層強くしてくれている。
 「ここはこうするのが王道だろー」っつーことを恥ずかしげもなく惜しげもなく展開してくれる。確かに嫌いじゃない。東鳩シリーズにしても、とらハシリーズにしても、ミルシーにしても、話題性の高くなるゲームというのは、王道であることが多い。え? 最後のは違うって? ぶっこぉすぞ!(ぉ
 と言う訳で、ぼくらの七日間戦争はまだですかー? とワクワクしてしまいます。
 第2章。
 特定の女の子と仲良くなっていく、第2章。
 思考や状況判断による選択肢ではなくキャラを選ぶだけの選択肢でシナリオが分岐していくなら、ファーストプレイからオンリープレイで問題無いわけで。最初はまず宮穂を目指す。
 宮穂は、仲間内でもクリアしている人が多かったことにプラスして、公式サイトの人気投票で最下位を走るシナリオ不遇キャラであり、年下の先輩呼びキャラであるという点も著しく評価してのファーストプレイに抜擢した。
 この人気投票はなかなか信頼性があり、実際にシナリオの評価のある海己(幼馴染み)と奈緒子(生徒会長)でワンツーを決めていた。
 普段ならオープニングムービー登場順にクリアを目指すので、海己ルートから目指してしまう所だが、やっぱり持つべきものはソムリエ大先生友人ですな。
> 「私をお求めですか」
> 「……だっこして、ください」
 定番と言えば定番だが、この軽いギャップこそまさに王道。
 こんな岩陰で……海辺の岩陰でやってもいいと思っていやがるのかコノ野郎。ええ、誰に言っているわけでもありませんよ? ですが、コノ野郎!
 そんなこんなで宮穂クリア。
 なかなか面白かったんだけど、1章と2章3章の路線の違いに戸惑う。
 続けて、静。
 エンディングの静が静がと大変騒がれていますが、正直、このシナリオに評価するものは無かった……。
 唯一、下の毛一本のイベントの際の、宮穂が最高に面白かったぐらいか?
 「いや、それはありえない」と言う単語を呟きつつ、静クリア。
 3番手は沙衣里先生。
 先生って付くほどだから俺にはありえないんだけど、微妙に子供すぎる言動が面白かったりする。いやむしろ、さえちゃんのダメな行動に対する主人公の心の中のツッコミが面白すぎる。
 宮穂に匹敵するギャグキャラであったが、職員会議は高評価。さえちゃんクリア。
 さぁ、凛奈シナリオに突入だ。
 第1章からして特別扱いを受ける凛奈。CVは強烈なビッグネームを起用していることからも、その存在感は大きく感じる。
 だが、俺の感じている感情は精神的疾患の一種のようでした。
 凛奈バカスwwwwwテラバカスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
 除夜の鐘を一つ突くたびにwwwwバカスwwwwwwwwww
 爆笑のまま、凛奈ルートをクリア。宮穂に匹敵する面白さだった。ある意味。
 キャラ的には無いのだが、その面白さにテンションが上がった所で、俺的最難関の奈緒子ルートへ突入。生徒会長だ。
 こいつは計算高く、自分が一番でならないと気がすまない性格のクセに、主人公に対してだけはダラ甘。
 シナリオ的にもなかなか面白かったのだが、最後の最後のエピローグ。奈緒子に1年間合えなかったことに対して、身の潔白を言葉で証明せよと迫られた主人公の、
> 「お前に触れられただけで、すぐ出る」
 に大・爆・笑。
 せっかく綺麗に終わるんだと思っていたのに、この仕打ちは何?
 そしてオーラス。海己である。
 ゲームスタート時から好感度120%の幼馴染み。
 まぁね、今までのルートの中でちらほらと出てきた伏線でシナリオは読めるんだけどね、それでもこれはイカンですよ。高見塚祭のウェwwwwwwwシーンで泣きました。はい、号泣。ちなみに「w」は伏字です。
 海己の独白は耐え切ったのに、あの長い独白は耐え切ったのに、主人公が海己を抱きしめて泣いているシーンが耐えられなかった。
 さすがにメインヒロインかと。
 ここで終わると思いきや、物語はまだ続く。オープニングタイトルに新項目が追加される。
 そう、各シナリオで目標としてきた、約束の日だ。ここまでのキャラ別シナリオは、これが訪れる前に完結し、これの後がエピローグになっている。
 うん……解かってるんだけどね。
 解かっているんだけど、号泣が止まらない。
 そしてそれに拍車を掛ける、卑劣なまでのエンディングロール。
 え? まだ隠しがある?
 綺麗なままで終わらせてください。

総括

 では総評。
 シナリオはさすがのディープインパクトが1発。その他の各キャラシナリオパートは、王道の展開を見せるのに小気味良く読め、まったく安心して見ていられるもの。古き良き To Heart、とらいあんぐるハート2等を彷彿とさせるものがある。ただ、パルフェより幾分インパクトに欠けるため、その点は評価を下げるだろうか。舞台設定やキャラ設定などは、パルフェより好きなんだけどね。設定だけではなかなか。
 CGはおしなべて微妙。パルフェとまったく変わりは無く。これも安心感を与えるものなのだろう。
 音楽はたいした評価は出せないのだが、グランドフィナーレのエンディングロールが最凶最悪。これ聞いたら、多分また泣くっつーぐらいヤバイ。
 システムは軽快にしてかゆい所まで手が届く超親切設計。その使いやすさを公式Webサイトにも活かして下さい